住宅の建設において、建物の「本体価格」以外に必要となるさまざまな費用について、ご説明します。諸費用は総建築費の1割強を占めるため、どんな費用が必要になるかをしっかり押さえて計画を進めることが大切です。
住宅の取得に当たっては、建物の建築費(本体価格)以外にさまざまな費用がかかります。具体的には、門扉やカーポートといった外構工事や水道の引込工事などの付帯工事費用、登記費用や税金、ローンの手数料といった諸費用などです。また、建築中の仮住まいや引越し費用、家具家電の購入費用は、諸費用に含まれないものの新生活を始める際に必要になるものです。
それでは、家を建てるときに必ず必要になる費用、ケースに応じて必要になる費用、諸費用には含まれないものの必要な費用を、それぞれ見ていきましょう。
家を建てる以上は必ず必要になる費用には、以下のものがあります。
設計監理料は、建築設計と工事監理に対して支払われる費用です。建築士による、施主と打ち合わせて設計プランを練り、必要な申請を行い、現場に通って工事監理を行い、建物を完成に導く、といった業務に対して支払われる費用です。建築士に設計を依頼し、工務店が工事を行うケースにおいては、この設計監理料が建築士の報酬となります。ハウスメーカーなどでは、建物の価格にあらかじめ設計監理料が組み込まれていることもあります。
設計監理料は建物の規模によって異なり、建築費用の5~15%となります。支払いは、設計業務委託契約時、設計完了時、工事の中間時、引き渡し後と、数回に分けられることがほとんどです。
「建築確認申請」は、新たに建築物を建てるときに必要となる申請で、計画中の建物が建築基準法や各種条例を守っているかどうかを審査するもの。自治体もしくは民間の指定確認検査機関に申請書を提出し、確認を依頼します。建築確認申請を行い、検査済証の発行を受けなければ、工事を始めることができません。また、建物が完成した際には、「完了検査」を受けることが義務付けられています。
建築確認申請等の手数料は延べ床面積によって変動し、また自治体によっても異なります。
地鎮祭は、必ず執り行わなければいけないものではない、と感じられるかもしれません。しかし、建築作業を行う大工さんたちに気持ちよく仕事をしてもらうためには、行ったほうが良いでしょう。ビルダーが手配する場合もありますが、施主が手配する場合は、近くの神社に依頼します。
地鎮祭には、神社に納める玉串料とお車代、供物の購入費用が必要です。玉串料やお車代の目安は3~5万円ですが、神社に確認を取りましょう(ほとんどの神社で、明確な料金設定があります)。供物(尾頭付の鯛など)についても、神社に確認して用意しましょう。
敷地内に水やガスを引き込む工事は本体工事に含まないものの、必要になる付帯工事のひとつです。上下水道の接続工事に60~100万円、都市ガスの接続に20万円前後が必要になります。ただし、オール電化住宅、またプロパンガスを使用する場合は、都市ガスの引込工事は発生しません。
都道府県が行う水道事業は、税金を使わずに水道料金などの収入でまかなわれています。そのため、新たに水道を引く場合、また水道メーターの口径を大きくする場合には、過去に行なった設備投資(浄水場や水道管などの整備)に要した経費の一部を負担するための「水道利用加入金」が、課されることになっています。
水道利用加入金は、自治体や水道メーターの口径によって、数万~数十万円という幅があります。各県の県営水道のサイトで調べるか、ハウスメーカー・工務店に確認してください。
外構工事は、建物を除く門扉やカーポート、塀などの工事費用です。ハウスメーカーの中には外構まで含んだ「コミコミ価格」を提示している会社もありますが、一般には建物の「本体工事」とは別に、外構や植栽といった付帯工事費用が発生します。
植栽工事は、外構に木や花を植える工事です。生垣をつくるケースも、植栽工事となります。
住宅建設工事の契約、また建物の登記に必要となる税金などの費用には、以下が挙げられます。
土地から購入する、古い家を取り壊す必要があるといった場合に必要となる費用には、以下があります。
住宅の建設に併せて新たに土地を購入する場合には、土地の購入代金、消費税に加えて、購入に付随する以下の費用が必要になります。
建て替えの場合や上物が残っている土地を購入した場合は、古い家を解体・撤去する費用が発生します。浄化槽が残っている場合は、掘り起こして撤去します。費用は、解体する家の構造や規模によって150〜300万円程度と幅があります。
いくら頑丈な家を建てたとしても、地震に見舞われた際に液状化が起きては被害を免れません。そのため、近年では全棟で地盤調査を実施するビルダーも珍しくありません。費用は、調査の手法によって5〜30万円と幅があります。
調査によって必要性が認められれば地盤改良工事を行いますが、費用は地盤の状況や工法によって開きがあるため、一概にはいえませんが、100万円ほどかかる場合もあります。
住宅ローンの借り入れには、以下のようなさまざまな手数料や税金がかかります。
諸費用に含まれないものの、必ず発生する費用があります。例えば、新居への引越し費用。建て替えの場合には、仮住まいの契約金と家賃、仮住まいへの引越し費用もかかります。
家具や家電を新たに購入する場合には、その費用も必要です。また、意外に大きいのがカーテン代です。ホームセンターで買えば数万円で済みますが、オーダーメイドのカーテンはとても高価です。インテリアデザイナーに依頼した場合は、100万円を超えることもあります。
長期優良住宅、ZEH、耐震等級といった住宅性能評価書取得費用は、およそ15万円です。
本体工事・付帯工事費を除く諸費用は、総額の1割程度を見ておく必要があります。また付帯工事費は、総額の1.5〜2割といわれます。すなわち、総予算の7割が本体工事費、2割が付帯工事費、1割が諸費用という割合になります。
ハウスメーカーの多くが提示しているのは、本体工事費です。本体価格が2,000万円の住宅の総費用はおよそ2,900万円で、諸費用は290万円程度必要、ということになります。
土地から購入する場合には、土地購入に伴う諸費用も発生します。目安は土地代金の0.5〜1割です。
上記で、総費用の7割が本体工事費、2割が付帯工事費、1割が諸費用という考え方をご紹介しました。付帯工事と諸費用を合わせた3割はかなり大きな数字なので、最初に予算の総額を決めて、そこから本体工事にかけられる費用を導き出すことを、おすすめします。例えば、住宅建設の予算が3,500万円だとしたら、本体にかけられるのは2,500万円という具合です。
総額ありきで計画を進めれば、資金計画が頓挫するリスクをぐっと抑えられますし、本体工事に使える金額が明確になるため、予算内に収めるプランニングが容易になります。
諸費用でつまずかないためのポイントのひとつは、見積もりをしっかりと確認することです。ここまで一般的な諸費用をご紹介してきましたが、ハウスメーカーによって、工事費に含むもの、諸費用に含むものが異なるケースがあります。契約を交わしてから「こんなはずではなかった」という状況に陥らないために、見積内容をしっかり確認し、必要に応じて付帯工事費や諸費用の提示を求めましょう。
ランクの高い設備や内装材はたしかに魅力的ですが、工事費が膨らめば諸費用も嵩むことを念頭に、優先順位を決めてコストをコントロールすることが大切です。また、借入の計画は慎重に行いましょう。ローンの手数料や保証料は借入額によって変動するため、自己資金の比率をできるだけ高くすれば、諸費用を抑えることにもつながります。
注文住宅の諸費用の種類と、予算の考え方についてご説明しました。お伝えしている通り、諸費用は総額の1割程度となります。1割といっても100万円単位の大きな額になるため、予算の総額から建築費用に使える金額を求め、優先順位を考えてコストを調整していくことが大切です。この記事が、満足のいく住宅づくりのお役に立てれば幸いです。
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